お知らせ
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作成日:2011/04/01
予算関連法案



予算関連法案

明日から3月がはじまります。政権の最重要課題である2011年度予算関連法案の成立は、まったく不透明な状態です。それはそうですよね。国民を無視して民主党は内部分裂を起こしているわけですから。皆様ご承知の通り、現在の国会は、衆議院では民主党が過半数ですが、参議院では過半数を割り込む「ねじれ国会」の状態です。ねじれ国会であっても、予算成立そのものにはあまり問題がありません。それは憲法において、予算が衆議院で可決されたら、参議院で可決されなくても30日経過すれば自動的に成立すると決まっているからです。しかし、予算とはそれだけで成立するものではありません。予算を実行するためには、各予算関連法案が同時に国会提出されます。これらは法案ですから、予算のように衆議院通過後30日で自動的に成立することはありません。ここが問題です。法案が衆議院で可決された後に参議院で否決された場合、衆議院の3分の2以上の賛成をもって再可決されれば成立されますが、現在の与党は衆議院で3分の2以上の議席を持っていませんので、与党が提出した法案に対して野党が反対した場合、成立が難しくなります。

今国会で政府が提出を予定する予算関連法案は26本あります。このうち、当然前回のレポートでご紹介した平成23年の税制改正の内容も含まれます。この改正を行う前提は赤字国債法案の成立です。11年度予算の歳出92.4兆円のうち、4割強を占める40.7兆円は赤字国債法案が成立しなければ確保できません。これまでもねじれ国会は何回かありましたが、衆議院の与党が3分の2以上の議席を維持していたため、参議院で法案が否決されても、衆議院で再可決できる状況でした。もし予算関連法案が成立しなかった場合、経済、景気への影響は計り知れません。

予算関連法案が成立しなかった場合、裏付けのある財源は51.7兆円です。一時的には財務省証券や、毎月の税収でやり繰りするとしても、いつまでもそんな状態は続きません。10年度は9月末には50兆円の予算を使い切ったわけですから、6月の通常国会の会期末までの赤字国債法が通らなければ、夏頃には資金ショートすることになってしまいます。

前回のレポートにも書きましたが、平成23年度の税制改正法案は、納得できないものが数多く含まれています。しかし米国も法人税率の引下げを表明している中で、日本だけが40%の税率のままというのは国際競争力に大きく支障をきたします

与党は「まず予算通過、予算関連はできるところから」と主張し、野党は、ばらまき予算とその予算執行の裏付けとなる予算関連法案を通すことが問題としていますから、この溝は深く、まだまだ時間がかかりそうです。ただ少なくても国民の生活や地方財政に直結する関税定率法改正案地方交付税法改正案については、少しでも早い成立を実現して欲しいものです。

今日の新聞に「公的金融、1/4に迫る」という記事が載っていました。民間と政府系の金融機関の中小企業向け貸出残高は、2010年9月末で約252兆円となり、このうち政府系金融機関の貸出金が約26兆円、実質的な政府保証である信用保証協会の保証付貸出金が35兆円にのぼるとのこと。これは貸出金トータルの24%になると書かれています。確かに民間の銀行がプロパー融資を減らし、政府保証付融資への借換を促す姿勢を露骨なものがありましたが、改めてこの割合を見て驚きました。このいわゆるセーフティーネット貸付制度を利用し、銀行が回収した資金は国債購入という形で国に流れています。2010年の短期証券を除く国債の買越額は、大手銀行や地方銀行で過去最高になりました。回収した資金を新たに開拓した融資先に融資したいところでしょうが、この時期、資金に余裕がある企業は新たな資金調達を控え、個人も預金への資金シフトを進めています。こうした構図がキャッシュを国債へと流入させているわけです。

昨年、大手銀行の預金は約4兆2千億円も増えたそうですが、貸出金は9兆円も減っているそうです。これだけでも13兆円以上の資金がだぶついていることになります。融資先が開拓できない以上、キャッシュがどんどん国債へ流入していきます。貸出先が不足している銀行は、「とりあえず国債でも買っておこうか」と考えます。逆に言えば、国債をいくら発行しても、現時点ではいくらでも買い手がいるということになります。しかしあまりにも国債を発行してしまうと、国内で消化できる限界を超えてしまうかもしれません。ここで心配になってくるのが金利の上昇です。つまり、国内で消化できない分、これまで以上に海外の投資家に買ってもらわなければならなくなります。では、このままで海外の投資家が日本の国債に魅力を持つでしょうか。海外の投資家が国債を買う場合、当然にして為替リスクが発生します。また現在の日本の弱い経済では将来性も低く、あえて低い利率の国債を買う気にはならないでしょう。となると、徐々に金利を上げていかないと国債を消化できないという可能性が高くなってきます。日本の国債は先月格下げされたばかりです。また上述した様な政局に振り回された状態のままでは、格付機関は更に日本国債の格付けを引き下げることになりかねません。そうなると、また金利を上げないと、海外投資家は日本国債に魅力を感じなくなるといったことになります。こうなると、他の金利もそれに連動して高くなっていきます。日本はデフレ下です。長期的にも、供給過剰の中で需要が大きく増えるとは考えにくい状況です。この状況で金利だけが上昇してしまうと、実質金利が上昇し、企業にとっては負担が非常に大きくなってしまいます。

また中長期的に厳しいのは、このように財政赤字が膨らむ可能性がある上に、少子高齢化が進展することです。そろそろ団塊世代が引退していきますし、政府が試算しているだけでも年間1兆円のペースで社会保障費が増えていくわけです。先日の新聞でも「当初予想された程の急激な人口減にはなっていないが、長期的な減少傾向は変わっていない」と報道されていました。加えて単身世帯が5,000万を突破するとのこと。そうでなくても財政が悪化する可能性が高いのに、政府には財政を均衡させようとする努力が全く見られません。

この様に日本は財政的に極めて厳しい状況です。詳しい数字は頭に入っていなくても、このことは国民一人一人が感じていることです。本当にいい加減国民のことを考えて政治を行って欲しいものです。

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