お知らせ
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作成日:2011/09/30
人財か人罪か、社員教育と今後の企業のあり方『所長情報誌』



 今月の30日、叩かれ続けた菅さんに代わって、野田さんが新首相に選出されました。新しい日本のかじ取り役になった野田首相ですが、景気回復に震災復興、原発事故等々、日本が抱えている問題は山積しています。東日本大震災の復興費や社会保障費を賄うため消費税を含め、増税を主張している野田新首相ですが、今後どの様な形で具体化していくのか、注意深く見守っていく必要があります。石原さんではありませんが、我々はとりあえず野田さんに期待するしかありません。それにしても今の政治家達は頼りになりません。またどこを見渡しても人財(・)不足を感じるのは私だけではないと思います。税制改正が今後どうなっていくのかは、もう少し時間が経過しないと見えてこないでしょうから、今回は人材育成を通して今後の企業のあり方について、最近感じたことを書いてみたいと思います。

私は仕事柄、普通の人よりは書店に立ち寄ることが多いのですが、その時いつも感じるのは、平積みされている数字に関する本が年々増えているということ。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」という本が出版されたのが2005年。たった2年程度で150万部を超えるミリオンセラーとなりました。このあたりから、身近な会計の本が出回りだしたと思います。今も同様の本がたくさん出版されていて、その多くが平積みされています。10万部以上売れている本も少なくないようです。この現象は、企業側が社員に対して数字の大切さを指導していることと無関係ではないでしょう。企業に勤める以上、全ての人は会社の数字、要するに決算書に少なからずインパクトを与えます。特に営業マンは売上、原価、固定費といった数字に大きなインパクトを与えます。右肩上がりの時代には、売上は増えるものだという前提のもとに、回収や債権管理に甘い部分があった様に思います。今はそんな時代ではなくなりました。増えない売上でいかに効率よく稼ぐか、これを実現するためには、一人ひとりのコスト意識が非常に大事なものとなってきた訳です。

 私は10数年前から、生産性本部、日本経営協会等でセミナー講師を務めていますが、ここでも以前とは大きく変わってきていることが3つあります。1つ目は受講者の人数です。特に今年から受講者が増えました。2つ目は講座内容です。以前は経理マン向けの講座が大半を占めていましたが、年間10〜12回のセミナーのうち、6〜7回は営業マン向けの内容に変わりました。3つ目は受講者の能力とモチベーションです。正確に測れるものではありませんが、休み時間や、懇親会等で色んな話をしていると、確実に以前の受講者の方々より前向きで貪欲な姿勢を感じます。以前の受講者のうち1割程度は「まー会社から言われたから仕方なく来たんだよなー」というオーラが出ている人が混じっていました。今は皆無です。こちらとしても、非常にやり易いですね。セミナーでは、企業に意識変革が社員に伝わっているのをヒシヒシと感じ取ることができます。

 また、企業の社員教育の一環として、一企業に数字の話をする機会も増えました。先日以前私のセミナーを聞いて頂いた新出光の方からオファーがあり、グループ会社に経理責任者向けの社内セミナー講師を務めましたが、20数名の皆様方を前に感じたことは「良い意味でギラギラしてるなー」ということ。普通、経理マンは、どうしてもどんよりした雰囲気を持っている方が多いものですが、何か一つでも吸収しようという姿勢が、ギラギラしたものに映ったのだと思います。休憩時間中、ベテランの経理マンの方とお話した時に、「今日の内容は簡単すぎて面白くないでしょう?」とお聞きすると、「後進の指導を行うにあたってどう話せば伝わるのか、そういった目線で勉強させて頂いています」と熱くお答え頂きました。

 企業は人材を人財に育成するために必死です。人罪になってしまっては大変です。勝手に力を伸ばす優秀な人もいるでしょうが、やはり企業側に育てる意識がないと、なかなか育たないということを実感しますね。特に中小企業は大変です。

 一人ひとりの生産性を向上し、少しでも高い付加価値を企業内で生み出す、口で言うのは簡単ですが、時間もお金もかかることです。それでも右肩上がりではなくなった日本では、避けて通れない大事な要素ですね。オーナーの事業承継も難しい問題ですが、幹部社員をはじめとした、社員の承継も簡単ではありません。できるだけ早く手をつけるべきだと思います。また、企業の総資産をスリム化し、効率の良い利益を生み出す体質を志向することが大切です。これも簡単なことではありませんが、やはり避けて通れない要素です。

 久しぶりに稲盛さんの「実学−経営と会計」という本を読み返しました。この本が出版されたのはもう10年以上前ですが、キャッシュフロー経営の重要性について書かれている本です。他のキャッシュフローの本は必要ないのでは、と思えるほどよくまとまっている本です。ご存知ない方は一度読んでみて下さい。

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